株式会社NTTデータ様インタビュー
先行する知見をチーム全体の力に―LLMアプリケーション開発技術の体系的習得

ジェネラティブエージェンツでは、株式会社NTTデータ様にて「 LLMアプリケーション 開発者養成講座」という研修を実施しました。研修を実施した背景や感想・今後への想いを、上條様と豊島様に伺いました。
今回のインタビューにご協力いただいた皆様

上條 大介様
株式会社NTTデータ
テレコム・ユーティリティ事業本部
デジタルエクスペリエンス事業部
今回の研修をチーム内に提案。
自身も受講者として参加。

豊島 美穂様
株式会社NTTデータ
テレコム・ユーティリティ事業本部
デジタルエクスペリエンス事業部
今回の研修の受講者。
インタビューの聞き手

大嶋 勇樹
株式会社ジェネラティブエージェンツ
取締役CTO / Co-founder
―上條さんはもともとLLMアプリケーション開発について深い知識をお持ちだったと思いますが、そのような視点から今回研修受講を提案・実施された背景についてお聞かせください。

上條氏
上條氏
私自身はお客様先にITディレクターとして常駐する立場であり、現在はLLMアプリケーションの PoC 開発を担当し、NTTデータ側とお客様との連携を担っています。その業務の中で、ベクトル検索におけるベクトル化範囲の最適化や、 LangGraph におけるノード分割の適切な単位、評価方法の検討などについて、基本的な部分でNTTデータ側のメンバーに対して指摘を行う場面がありました。
また、現在当チームではチャットボットの開発も行っていますが、主にルールベースのチャットボット開発が中心であり、LLMを活用した設計・開発については、さらなるスキル向上が必要であると認識しています。これらの課題を踏まえ、本研修を計画しました。
―LLMアプリケーションへの関心や活用の動きは、最近どのような状況にあると感じていますか?

上條氏
上條氏
LLMの活用検証を開始したのは、2023年9月から10月頃となります。当時より「今後は ルールベース のチャットボットではなく、LLMを活用したものが主流となる」という認識がお客様側でも共有されており、それに基づき様々な検証を開始しました。
現在は、その動きがさらに加速しています。すでにLLMを前提としたサービス設計やプロダクト開発の段階に移行していると認識しています。
また、現在はAIエディター系のツールも登場していますが、 Cursor や Cline といったAIコーディング支援ツールを効果的に活用するためには、生成AIの基本的な理解や適切なプロンプト設計、開発スキルの習得が必須であると考えています。
―今回研修を受講してみての感想をお聞かせください。

豊島氏
豊島氏
研修を受講してみて、業務でなんとなく理解していた部分を体系的に知識として学べたのがとても良かったです。上條さんはもともと知識レベルが他のメンバーと比較して突出していましたが、私自身は生成AI関連の初めての案件に取り組んでおり、周囲にも生成AI開発を実施しているチームが存在しない状況でした。そのため、とりあえず動くものを見てプロンプトを確認し、「こう書いているからこう動いているんだ」という見よう見まねで業務を進めていました。
また、通常の開発とLLMアプリケーションの開発では観点が異なるため、問題が発生した際に解決策が浮かばず、試行錯誤を繰り返しながら成功パターンを模索するという方法を取っていました。この点、今回の研修で座学による基礎知識の習得から実際の開発に取り組むことで、より効率的な開発が可能になると認識しています。

上條氏
上條氏
私も体系立てられた内容で、実際に手を動かして学べる時間が十分に確保されていた点が良かったと感じています。個人的には既知の内容も多かったものの、参加者のレベルに合わせて基本から確認できた点も有意義でした。3日間という期間については、事前に社内で「長い」という意見もありましたが、内容を考慮すると適切なボリュームであったと考えています。
―研修で学んだ内容は今後の業務で活かせそうですか?

豊島氏
豊島氏
LangSmith などのツールについて、研修の場で知識を習得できた点は非常に有意義でした。特に実践してみたいのはデザインパターンの部分で、概念的な内容を実際のサービスにどのように落とし込んでいくか、機会があれば業務で実践してみたいと考えています。

上條氏
上條氏
今後の別案件でのPoC実施においても、今回の研修で得た知識は大いに活用できると考えています。個人的には、TeamsやGoogle Meetなどの会議の書き起こしから次のアクションアイテムを抽出し、それをバックログのチケット化するような機能を、自己研鑽を兼ねて実装してみたいと考えています。
このような機能を実装する際のタスク分割やワークフロー設計についても、今回学んだ内容を活用できると考えています。
―最後に、今回の研修をきっかけにLLMアプリケーション開発についてさらに深掘りしていきたい点や、今後の意気込みをお聞かせください。

豊島氏
豊島氏
今回特に印象に残ったデザインパターンの部分に加え、LangGraphなどコーディングの部分について、より深く学んでいきたいと考えています。
また、この業界は新しいモデルが次々と登場する状況にありますので、今後も継続的に学習を進めていきたいと考えています。一般的に興味深い内容だけでなく、IT技術者として把握すべき情報も存在しますので、それらをどのように取り入れていくかを考えていきたいです。

上條氏
上條氏
セキュリティやガバナンスの観点は避けて通れない重要な要素となりますので、この部分についてより深く考えていきたいです。
また、LLMアプリケーションの開発においては、 ドメインエキスパート の存在が重要となりますが、大企業では部門ごとに縦割りになっているケースも多く、例えば情報システム部が開発を担当するものの、部内にビジネス領域のドメインエキスパートが不在であるといった状況が発生します。このような体制の中でプロダクトを成立させていく方法について、大企業における部門間の壁をどのように乗り越えていくべきか、さらに考えていきたいです。
LLMアプリケーション開発者養成講座
− LangChain実践3日コース
LangChain の基礎から実践的なアプリケーション開発までを3日間で学ぶ講義・ハンズオンのコースです。LLM アプリケーションの開発に取り組むため、プロンプトエンジニアリングの基礎から、RAG(検索拡張生成)アプリケーションの実装、LLMOpsの基礎までを学びます。また、AI エージェント開発にあたっての基礎的な事項から、AI エージェントを開発するためのデザインパターンについても学びます。
研修カリキュラム
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日程 | テーマ | 学習内容 |
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1日目 | LLMアプリ開発の基礎 LangChain入門 RAG入門 |
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2日目 | Advanced RAG RAGの評価 AIエージェント入門 |
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3日目 | LangGraphの本格活用 エージェントデザインパターン |
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研修プログラムについて
LLMアプリケーション開発の分野は急速に進化しており、新しい技術やフレームワークのアップデートが日々発表されています。こうした最新情報を効率的にキャッチアップし、実際の開発に活かすことは容易ではありません。
また、最新情報を追いかけるためには、前提としてLLMアプリ開発の現時点までの知識に追いつくことが必要です。基礎から実践まで一度しっかり学ぶことで、LLMアプリ開発への取り組みや最新情報のキャッチアップがスムーズになります。
そこでジェネラティブエージェンツでは、LLMアプリケーション開発の2つの講座を2025年5月に開催します。
1. LLMアプリケーション開発最新情報セミナー
- LLMアプリ開発の最新情報を短時間で効率的にキャッチアップできるセミナー
- 開催日程:5/23(金)13:30〜15:30 ※以後2ヶ月に1回開催予定
2. LLMアプリケーション開発者養成講座(合同研修)
- LLMアプリ開発の基礎から実践まで講義とハンズオンで学べる講座
- 開催日程:5/27, 6/3, 6/10(各火曜日)10:00〜18:00
詳細はぜひこちらからご確認ください。
事業責任者

大嶋 勇樹
Yuki Oshima
株式会社ジェネラティブエージェンツ
取締役CTO/Co-founder
大規模言語モデルを組み込んだアプリケーションやAIエージェントの開発を実施。個人ではエンジニア向けの勉強会開催や教材作成など。オンラインコースUdemyではベストセラー講座多数。「ChatGPT/LangChainによるチャットシステム構築[実践]入門」(技術評論社)共著。勉強会コミュニティStudyCo運営。