お客様事例

JBCCがAI-DLCを組織実装する。「JBアジャイル ✕ AI」で開発現場の変革を加速

インタビューの様子

JBCC株式会社はクラウド、セキュリティ、超高速開発を軸に企業のDXを支援するITサービス企業です。近年は従来の強みにAIやデータ活用も取り込みながら、システム開発や運用のあり方をさらに進化させています。こうした強みを持つJBCCはなぜ、ジェネラティブエージェンツの「AIエンジニアリングマスター研修」への参加を決めたのでしょうか。研究開発と事業開発を担う新居田晃史さんと、SI事業の技術推進を担う福島健太さんにその背景を伺いました。

新居田晃史さん

JBCC株式会社
カスタマー・イノベーション・ラボ兼新規事業担当グループ
新居田 晃史さん

福島健太さん

JBCC株式会社
SI事業部 技術推進部
福島 健太さん

クラウド、セキュリティ、超高速開発で顧客のDXを推進

― 貴社の事業概要を教えてください。

新居田:JBCC株式会社は企業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を支援するITサービス企業です。クラウドやセキュリティ、超高速開発(ローコード開発)を軸にシステムの設計から構築、運用までを提供し、企業のDXの実現に貢献しています。お客様によって異なるIT環境や業務課題に合わせ、複数の技術領域を組み合わせて経営変革まで伴走しているのが特長です。近年では従来の強みであるクラウド、セキュリティ、超高速開発にAIやデータ活用を組み込んだ「HARMONIZE 2.0」を打ち出し、DXを早く、安全に、現場で使える形で実装することを目指しています。

― 現在(2026年4月)、JBCCが注力しているサービスやその優位性を教えてください。

新居田:一つ挙げるとすれば「EcoOne」です。AWSやAzure、Google Cloud、IBM Cloudといったマルチクラウド環境に対し、設計・構築から24時間365日の監視・運用までを提供しています。定期的にクラウドの運用コストを最適化し、お客様の運用負荷を抑えながら障害の検知と迅速な対応を継続的に実現できる点が強みです。

福島:超高速開発の領域では、独自のアジャイル開発手法「JBアジャイル」とローコード開発ツール「GeneXus(ジェネクサス)」を組み合わせ、大規模な基幹システムにも対応しています。古い基幹システムを短期間で刷新し、AIやデータ活用まで見据えた全体最適を支援しています。GeneXusは設計情報をもとにアプリケーションやデータベースを自動生成できるため、属人化や実装上の単純ミスを抑えやすく、教育コストの低減や生産性向上にも繋がります。さらに、社内でもAI活用を前提とした開発やシステム刷新を進めており「JBアジャイル ✕ AI」を推進しています。

― サービスの安全性の面でも強いと伺っています。

新居田:ありがとうございます。私たちはサイバー攻撃による被害拡大を防ぎ、情報資産を安全に保護するゼロトラストセキュリティの拡充にも早い段階から取り組んできました。昨今のランサムウェアへの対応や防止に向けた支援を通じてお客様が安心してシステムを使い続けられる土壌を提供しています。

福島:安全性に加え、私たちはお客様に導入して終わりではなく、その後の運用まで含めた価値も重視しています。クラウド活用によってインフラコストや運用負荷を下げながらお客様の課題解決に結びつけていくことも、私たちの役割だと考えています。

― 社会や業界全体に見られる動向や課題はありますか。

新居田:少子高齢化に伴う人材不足です。スキルを持った人材が減少する中で事業を継続できるのかと危機感を抱くお客様は多いですね。AIを活用しなければならないと考えつつも何から着手すべきか分からず、二の足を踏んでいるケースも少なくありません。

福島:医療や物流をはじめ、さまざまな業界でセキュリティ面の課題が高まっていると感じます。例えば二段階認証や多要素認証、データ管理などへの関心は社内外で高く、私たちもセキュリティのスキルを引き上げながら、お客様に価値を届けています。

独学では足りない。チームでAIエンジニアリングマスター研修受講に至った理由

― 現在、お二人はどのような業務を担当していらっしゃいますか。

新居田:カスタマー・イノベーション・ラボという研究開発と事業開発を推進する部門に所属しています。新しい技術やサービスを見つけた際に、それを自社のビジネスにどう活かすのかを検証するのが主な役割です。

福島:私はSI事業部の技術推進部に所属し、システムの構築・提供に加えて弊社の強みであるJBアジャイルにAIをどう組み合わせて運用へ落とし込んでいくのかを検討・運用しています。仮説検証を繰り返しながら確実な方法を模索しているところです。

― 個人ではなく、チーム全体でAIの共通認識を持つべきだと考えた経緯をお聞かせください。

新居田:理由は大きく2つあります。1つ目は、AIコーディングを実践する以上、AIが生み出すものを自分たちでコントロールできなければならないと確信したからです。そうでなければ、お客様に対して最適なものを納品・運用することはできません。私自身、試しにAIを使ってみたところ、思った以上に制御が難しいと実感し、正しい手法を体系的に学ぼうと考えました。

2つ目は、AI-DLC(AI駆動開発ライフサイクル)にも通じる話ですが、開発そのものが速くなっても最終的なボトルネックは人と人とのコミュニケーションに残ると考えたからです。スケジュール調整や合意形成にかかるコストを含め、AIを前提とした新しい開発の進め方を組織に定着させる必要があると判断しました。

福島:私はまず、JBアジャイルとAI-DLCを組み合わせた時、それが本当に適切なのか、どこに改善の余地があるのかを見極めたいと考えていました。同時に、幅広い情報を取り入れながら自分たちの事業や開発の現場にどう実装できるのかを検討しています。また、会社全体に知見を浸透させていくことも私のミッションの一つですが、個人で得られる経験やスキルには限りがあります。チームや組織に共通言語がなければ一人がスキルを得ても共有や再現は難しい。メンバー一人ひとりが知識を身につけ、チームとして成長すべきだと考えました。

※AI-DLC(AI Development Life Cycle:AI駆動開発ライフサイクル)の背景や考え方については、吉田真吾による解説記事をご覧ください。

― 当初は、AIに関する情報をどのように集めていましたか。

新居田:個人的にAI関連の情報を積極的に集めて学んでいました。ジェネラティブエージェンツCOOの吉田さんが主催する「AIコーディング道場勉強会」にも参加し、ノウハウを得たり意見交換をしたりしながら社内の業務にも活かしてきました。そもそもAIコーディングについては、人が従来どおり手でプログラムを書き続ける生産性の低さが大きな課題になると危機感を抱いていました。初期のAI活用では実務でそのまま使える水準に至らない場面も多く、どう使いこなせばいいのか試行錯誤していました。

― ジェネラティブエージェンツの「AIエンジニアリングマスター研修」へ参加した背景をお聞かせください。

新居田:この分野で遅れを取りたくない、何としても食らいつきたいという思いがありました。AIは指示の与え方によっては必要なコードまで消してしまうことがあります。そうしたリスクをいかに抑えながら開発を進めるのか、チームで学ばなければ実務には繋がりにくいと考えました。自分たちだけで試行錯誤を続ける方法もありますが、専門家のアドバイスを取り入れたほうが確実に習得し、仕事にも応用しやすいと判断しました。

また、日頃から技術コミュニティで情報を収集していたため、どの講座が信頼できて実践性が高いのかという感覚も持っていました。ジェネラティブエージェンツの講座では、コーディングエージェントの基礎からAIコーディングの実践、活用方法まで学べると分かっていましたし、開発現場で応用しやすいAWSを含んだ実践知も得られる、と。そこで私から福島さんに「有力な講座がある。一緒に受けないか」と声をかけました。まずは挑戦してみたかったんです。

福島:新居田さんから紹介を受けたこともありますが、もともとAI活用には多様なアプローチがあります。特にこの講座では先駆者の知見を体系的に学べる点に魅力を感じました。また、AIコーディングにまつわる沢山のケースや受講者の悩みに対して打ち手を提示してきた実績がありますし、私たちのプロジェクトに関する悩みにも対面で向き合っていただけると期待して受講を決めました。

AIエンジニアリングマスター研修の様子

受講して変わった、現場の議論力と上層部の事業方針

― AIエンジニアリングマスター研修では、どのような点が事業や業務に有用だと思いましたか。

新居田:世の中にある手法を一から学べたことです。私たちが取り組んでいる開発の進め方と、AI-DLCという手法の間には少なからずギャップがありましたが、講師の皆さんが実体験に即した事例を交えながら丁寧に説明してくださいました。AI-DLC以外でも、さまざまなAI駆動開発のノウハウを質問しても細かく答えていただいたことで理解が深まりました。

私たちは基幹システムを主な対象としているため要件定義や設計の段階で詳細に詰めていきます。一方、世の中に出ているAI-DLCの事例は、コンシューマー向けサービスやオープン系システムを前提に説明されることが多く、自分たちの現場にそのまま適用していいのか不安を感じるメンバーもいました。「自分たちの判断軸があるならそれをAIにインプットし、質問させながら進めていけばいい」と助言を頂いたことは安心材料になりました。

福島:弊社ではすでにAI-DLCの実践を進めていますが、チーム内には経験のあるメンバーもいれば、未経験のメンバーもいます。そうした経験にばらつきのある状況でも全員が講座を受講し、それぞれに応じたアドバイスを受けられたことは心強かったですね。講座ではKiro(キロ。AWSが提供する仕様駆動型のエージェントIDE)を使った開発も扱うなど、用途や希望に応じて内容を柔軟に調整していただきました。その結果、メンバーそれぞれがAI-DLCへの理解を深め、業務への活用イメージや効果を具体的に描けるようになりました。チームとして次に何に着手すべきかという共通認識も生まれましたね。

― 講座を経て、事業ではどのような変化がありましたか。

新居田:ちょうど先日、SI事業の責任者からAI駆動開発を積極的に採用する方針が示され、事業としても大きく舵を切り始めています。講座を通じて現場の理解が進んだことで、マネジメント層としても事業戦略の一つとして判断しやすくなったのではないでしょうか。

福島:私の部署ではTsumiki(AI支援型のテスト駆動開発「AITDD:AI-assisted Test-Driven Development」)のフレームワークを活用してその結果を社内に展開しました。従来のJBアジャイルを中心とした開発にAIをどう盛り込んでいくか。その方向性を具体化するきっかけになったと思いますし、そこからSI事業部、JBCC全体へ広げていく足がかりにもなりました。

― 現場の認識や議論ではどのような変化がありましたか。

新居田:これまでの開発では設計まで固まった状態で案件が降りてくることが多く、開発者は「作ること」に専念しがちでした。インセプションを通じて仕様を決めたり、なぜそれが必要なのかというドメイン知識に触れたりして自分たちに足りていなかった視点に気づきました。AI-DLCを受講したことを機に、社内の開発における議論のレベルが一段上がっていますね。

福島:以前と比べるとチームの会話の質が上がりました。要件定義の後に人がレビューすると抜け漏れが生じてボトルネックになり、新たな問題を生む場合もあります。そこで、どこまでをAIに任せて次のフェーズに進めるのか、あるいはAIを活用するためにどのようなタスクやスキルが求められるのか議論するようになりました。AIを前提に開発を進める上で、チーム内の対話の解像度が上がったと感じています。

新居田:そして、こちら側がAIを理解していなければAIのアウトプットを適切にレビューできない。AIによって開発そのものは速くなりますが、それを使いこなす側も実力を高めていかなければ、価値を出せる人材にはなれない。この変化の本質に気づけたのは大きかったです。

― どのような方にこの講座をお勧めしたいですか。

福島:やる気のある方や、この大きな変化を前にビジネスの進め方を変えたいという意欲を持つ方です。AIに関する知識がなく「まだ先でいい」と心理的なハードルを高めている方も、まずは一度試してみるといいのではないでしょうか。

AIエンジニアリングマスター研修の様子

開発支援の先へ。JBCCが構想する「SIエージェント」

― このAIコーディングをもとに、将来的にはどのような計画を描いていらっしゃいますか。

新居田:研究開発や事業開発の立場としてAIコーディングに集中している背景にはAIによるシステム開発を実現したいという構想があります。将来的には、エージェント自体が企業のシステムをつくっていく世界を見据えています。もちろん、その過程では多くの失敗もあるはず。失敗も含めた知見を今のうちからナレッジとして蓄積していくことが重要です。そうした取り組みを進めるスタートアップ企業と、2026年3月に資本提携も行いました。AI-DLCなくしてその実現は難しいと考えているからこそ、まずは経験と知見を着実に積み重ねます。それをデータとして蓄積しながらAIをコントロールし、新規事業の創出・推進に繋げていきます。

福島:現在はJBアジャイルを軸にローコード開発ツールを活用した開発が基本となっています。SI事業部の中長期的な方針としては、先述のとおりJBアジャイルを活かしながらAIを本格的に組み込んでいくこと。それに向けてまずSI事業部の開発者全員がAIを使いこなせる状態を目指します。それを当たり前にした上でお客様にシステムを提供するだけでなく、その先の付加価値も届けていきます。

私たちはお客様のITを局所的な改善にとどめず全社的な変革へ導き、総合ITサービス事業としてさらに加速していきます。JBアジャイルも有効な手法ですが、機能数や影響範囲が大きい案件では時間がかかる場面があります。それをAIの活用によって短縮し、新たに生まれた余力を付加価値の提供へ充てていく。単なる刷新にとどまらず、より早く、より大きな価値をお客様へ届けてDX推進を実現していく上でもAI活用は不可欠だと考えています。

― 最後に「AIエンジニアリングマスター研修」を受講しようとしている方へメッセージをお願いします。

新居田:この講座の受講を検討している時点でアンテナは立っているはずです。その感覚を信じて、まずは一歩踏み出してみることをお勧めします。自分一人で取り組むだけでは広がりに限界がありますから、会社でアクションを起こしてみる、あるいは技術コミュニティに飛び込んでみる。自ら行動を変えていくことで技術の波にも前向きに乗っていけますね。

福島:お悩みを一人で抱えず、講座で率直にぶつけてみることに価値があると思います。SNSにはさまざまな意見がありますが、それが自分たちの現場に当てはまるのかは別の話です。人と人とのコミュニケーションを通じて悩みを整理し、納得感を持ってから組織へ展開していくことが大切ではないでしょうか。

(取材・執筆・編集:佐野 桃木 写真提供:JBCC)

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